乗降のお手伝い

券売機でICカードにチャージして、自動改札機にピッとかざしてスイスイ乗車。
降りる時もピッとタッチするだけで、運賃がチャージ残額から引かれて終わり。

人がやっていた仕事が、どんどん機械に置き換わっていく今の時代。

そんな中でも、人にしか出来ない仕事があるので、私たち駅員は存在しています。

そのうちの一つが、介助が必要な方のお手伝い。
車イスを使っている方、足腰に不安がある方、目の不自由な方など、さまざまな事情を抱えた方が頼ってきてくれます。

車イスをお使いの方が、電車に乗るときの障害になる段差を解消するために板を敷いたり、歩行時に不安がある方が、多くの人が行き交うホームの上を安心して通行するために自らがガイドとなって先導したりします。

中には気さくに話しかけてくださる方もいて、お客さまと直にコミュニケーションを取れるのがとても楽しいと思える仕事です。

最近、いつも歩行時の介助をさせてもらっているご年配の男性から
「ソーシャルディスタンスとしきりに言われているけど、こうして私と密接してしまうのは気にならない?」と尋ねられました。

歩行介助をする際は、私たちの腕をつかんでもらって一緒に歩くので、どうしても距離が近くなってしまいます。そのことを気にして声をかけてくれました。

むしろお客さまのほうが気にならないか心配だと返答したところ、

「こうして手伝ってもらえて嬉しい」と言ってくださり、何だか暖かい気持ちになりました。


駅はまだまだバリアフリーが進んでおらず、人の手を借りないと利用できない方々も沢山います。いつか、どんな人でも電車に自由に乗り降り出来る世の中になるといいなと思いつつ、こういう人と人とのふれあいがなくなるのは寂しいな…とも考えてしまいます。

何が良いのか、試行錯誤の日々ですね。